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—— 江戸末期とヒーローという組み合わせはどこから発想を得たんですか? |
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錦織 必ずしも最初から江戸時代と決めていたわけではないんです。ただ企画をすすめるときに、過去に何度かごいっしょした、原作者の會川(昇)さん(※1)から、江戸時代、天保年間でやりたいというのがあって、それである程度、実在の人物を絡ませて作っていくというスタイルを採りました。もともと時代劇ありきではなくて、みんながあこがれるヒーローが活躍する時代を探していたら、江戸時代がいいな、と。 |
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—— 作品中に描かれる、江戸時代はどんな世界になりますか。 |
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錦織 大きく言えば、現実である「こちら側」と妖夷たちのいる「異界」がつながりぶつかり合う世界ですね。その中で異界の力を取り込もうとする政治的な動きや社会の動乱があります。主人公は「こちら側」と「異界」の両方の世界に通じた大きな能力を持つという人間です。 |
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—— その主人公、竜導往壓について教えてください。 |
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錦織 まず主人公を考えていくときに、この作品なりのヒーロー像を強いヒーローという形でつくっていけないかな、と考えたんです。強い意志を持ち、まわりをどんどん引っ張ってくれるヒーローを描きたい、と。竜導往壓は、もともと武士の出なんですが、異界とのかかわりがあって、居場所がない人なんです。転々としているうちに流れ者になっている。だから、まわりの状況や人間に対してドライな感じなんです。その彼が「蛮社改所」のメンバーである「奇士」とともに妖夷を倒すために出動していく。 |
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—— 39歳というヒーローにしては高齢ですよね。 |
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錦織 (笑)それもあって、往壓は、その「奇士」のメンバーの中でも最年長ですし、考え方もはっきりしている。自分が生きたいように生きるのではなく、他人を守ることに自分の能力を使う人物です。ただ、他人を守るにはその能力が大きすぎて、まわりを飲み込んでいく……。 |
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—— そこが見所のひとつになるんですね。 |
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錦織 はい。竜導往壓は最初、自分の能力を自覚していません。「こちら側」と「異界」の間でぶれながら、自分の居場所を見つけていくんです。 |
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—— なるほど。奇士がいる蛮社改所の本拠地「前島聖天」は江戸のどんな場所にあるんですか? |
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錦織 かなり昔は、江戸城のあたりまで海だったらしいんです。前島聖天は、その海だった場所の地下にあります。入り江っぽいフシギな空間にある秘密基地ですね。当時の江戸は水路を通していろいろな場所につながっていました。奇士は、前島聖天から水路を通って出動します。要は、その出撃シーンを描いてみたかったというのもありますが(笑)。 |
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—— 出撃シーンが見せ場というのは、まるで特撮作品のようですね! |
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錦織 ははは。特撮作品といえば、今回もいろいろなものが巨大化したりします。変身もしますし。 |
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—— 変身をするんですか! |
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錦織 変身するだけでなく、主人公が漢字から力を引き出して戦います。漢字の意味に即して、攻撃方法が毎回変わります。 |
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—— どんな攻撃なんですか? |
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錦織 たとえば「父」という漢字から「斧」を取り出したり、違う漢字から「バリヤー」を張ったり。往壓は、漢字の起源である「甲骨文字」の意味から能力を取り出しているんです。 |
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—— 敵の妖夷はどんなものなんですか? |
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錦織 最初のほうに出てくる妖夷は巨大怪獣(※2)という感じです。妖夷の表現もかなり新しいことをやっていて、その動きやアクションを入れています。最初の回数に登場する妖夷はものをいわぬ怪獣ですけど、だんだん喋ったりするのも出てきて、それを通じて異界の全貌がわかってくる。同時に、最初のうちは妖夷とのバトルが中心ですが、だんだん科学捜査をして妖夷の弱点や正体を調査することも描かれるようになっていきます。 |
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—— キャッチコピーには「神を喰らい、妖夷を討て」とあるんですが、どんなシーンがあるんでしょうか? |
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錦織 ああ、「神を喰らい」ですか。これは単純に倒した妖夷を食べるんですよ。なべとかにして。 |
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—— え、鍋で妖夷を料理する!? |
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錦織 あ、いや、実はアビという奇士が料理上手でして、倒した妖夷を料理しちゃうんです。焼肉にしたり(笑)。みんなで囲む食事シーンも見どころになります。美味しそうに調理するんで。グロテスクにはしませんよ。 |
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—— 当時は肉食が禁じられている時代ですよね? |
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錦織 隠れて妖夷の肉を食べるシーンがあるんですけど、普通の肉よりもうまい……らしい(笑)。いろいろな食べ方、調理法をしますよ。 |
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—— みんなで肉を食べるだなんて、一家団欒ですね。 |
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錦織 土6ですから(笑)。「神を喰い」というと大仰だけど、美味しそうにしたい(笑)。登場人物の人間関係はシビアですが、特撮モノや、海外の調査ものの雰囲気を混ぜて、エンターテインメントな感じにまとめていこうと思っています。食事の一家団欒から、漢字の起源まで、本来の土曜日夜6時(※3)にふさわしい楽しい作品を目指しているんです。テンポよく楽しめるさくひんにするので、期待してくださいね! |
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